| 【日時】平成29年・8月6日(日)・7日(月) |
被爆から今年で72年目。炎天下の広島原爆の8月6日(日)に広島市内の「広島平和記念公園」と江田島、広島郊外に行くことが出来ました。6日午後からは式典後の平和記念公園内に数年前に再建築された「広島平和記念資料館記念館」を、猛暑の和らいだ夕刻からは、原爆ドームから広島市指定重要文化財「旧日本銀行広島支店」(ルネッサンス様式・コリント式装飾のRC構造)のある広島市中区界隈を視察いたしました。7日午前は、広島県西部で瀬戸内海島嶼部に位置する江田島市「江田島」まで高速船で渡り、「旧海軍兵学校」内の貴重な建築群の見学を行いました。赤レンガのルネッサンス建築は、日本の近代建築のお手本のような威厳を感じるフェデラル様式とグリークリバイバル様式を基本とする物でした。広島市内に高速フェリーで戻った午後は、広島市郊外へと向かいました。案内は、地元広島市内で建築コンサルタントを長年行っている友人の若本氏にお願いしました。郊外の山を切り崩した郊外開発と一昨年の土石流の発生した丘陵地帯の遠景や、広島市内から郊外へ延伸が中断されたままのモノレール「アストラムライン」など非常に短時間で効率よく案内をしてくれました。若本氏はこれらの未秩序に近い郊外型開発にアンチテーゼを示す形で米英型の「TND・伝統的近隣住区開発」を推進中でもあります。その郊外鉄道にほどよく隣接する約2000㎡の旧農地をこのTND開発地とする計画が現在進行中です。移動中に若本氏から伺った広島市における開発の話と、以前のコンパクトシティに関する若本レポートを少し紹介いたします。広島市内では、ドイツの環境都市フライブルクを模した「コンパクトシティ」が推進される予定でしたが、実際は駅前に高層階ビルを県外の大手ゼネコン会社が従前の通りに建設する単なる「高密度な駅前開発」に変容また、地元の経済圏内で資金が地域循環せず県外に流出する再開発が進められようとしています。若本氏は県内大島出身で、現在は市内で建設コンサルタントを行い、開発行政のオブザーバーとして活躍しています。若本修二氏のレポートの一部を、またわたしの少々辛口な加筆による解説といたします。→『新交通システム「アストラムライン」の延伸(新設6駅 総事業費570億円)に続き、今度はJR海田駅周辺の立体交差事業(2区間計4Km高架化 総事業費770億円)に対して、当初計画を縮小して事業実施の方針を固めたようです。広島市が「コンパクトシティー」を掲げながら、山を削りトンネルを掘って6駅を新設する570億円の投資(うち広島市の負担は289億円)という負担にも驚きましたが、既存のJR2駅を立体交差させるための2Kmずつの高架化に、アストラムイラン延伸以上の投資額が掛かることに「何も疑問を持たない」広島県の方針にまずはビックリです!当初の事業費990億円が巨額過ぎると中止に傾いたこの事業、海田町が猛烈に反発し、計画を縮小して実施に向かうようです。TODとは、米国の都市計画家で、持続可能な都市づくりを提唱している「ピーター・カルソープ」による開発コンセプトです。無秩序にスプロール化し孤立化した米国の開発の反省を踏まえて、サステイナブル(持続可能)な都市づくりは何が重要かを詳細に調査し、計画手法をまとめています。それはザックリと言えば「車中心社会」から脱却し「公共交通機関や徒歩を中心とした」街づくりに回帰しようということ。公共交通機関の駅を中心に、オフィスや商業、娯楽、住居などを街の規模や性格にあわせて一定割合の基準を設けて、持続的にその駅周辺が発展するような「近隣住区開発」をしようという発想です。そこには「車がなくても生活に不自由しない徒歩圏の街をつくろう」というドイツの環境都市を模したコンパクトシティの発想と、地域に人とお金が循環する新しい都市像、街の形を提案しています。今回の「高架化」や「アンダーパス」などは、車中心の発想に街づくりや生活者の視点は乏しく「他からの通過・流入交通のための巨額投資をしよう!」ということに他なりません。つまり「土木への投資」であり、海田駅周辺に「人の賑わいをつくる」ことよりも、今後人口が減り、車の減少が確実な地域に「車のための投資をしよう!」ということです。首長や行政・地方議会は、単に言葉遊びやブームでドイツを模した「コンパクトシティー化推進』を語るのではなく、本来の「公共交通機関を中心とした人が暮らす空間を整備する」という米国に倣った「TOD」や「ニューアーバニズム」などをしっかり学んでもらった上で、いかに限られた公共事業投資をどこに重点的に使うか議論してもらいたいものです。』← 暗黒と混乱の民主党時代に提唱された「コンクリートから人へ!」とは、公共事業を否定したものではなく「土木(=コンクリート)偏重」の投資から、本質的に「計画的な都市づくり(=住まい手・市民中心)」に投資の方向を変えることが重要であると思います。また、旧自民党のように、決して「人にお金をばら撒く」ことで街は活性化も豊かにもなりません。原爆ドームや平和記念公園が現状「最も集客力のある観光資源」であれば、駐車場から各施設への往復ではなく、平和大通りにLRTやBRTの停車駅等があり、行き先が分散されることが望ましいです。回遊性が高ければ、袋町や並木通りなど地域色豊かな地元企業が出店している商業ゾーンに観光客の流入も増加が期待できます。私たちがポーランドの「アウシュビッツ収容所」や沖縄の「ひめゆりの塔」など、戦争の悲劇の歴史遺産を体験した時の行動をイメージしても、それを払しょくできるだけの魅力ある施設や街が近くにない限り、出来るだけ早くそのエリアは立ち去ろうとするのではないでしょうか?周辺の景観の美しさや大都市と比べて中途半端な都市の賑わい、交通アクセスの悪さは、観光客の滞在を延ばすまでの魅力には繋がらないと考えます。むしろ戦争の負の遺産をさらに強く印象付けることで、観光客の流入や滞在時間の延長、観光消費額を増やすのであれば、例えばドイツのドレスデンのように戦禍で焦土になった街を戦前の街のように再生・再現するという努力がなされれば「こんな賑やかで魅力ある街を消し去ったのか?」という非常に大きな印象を観光客に残すことが出来るでしょう。候補地は、原爆ドームの目の前に広がる旧広島市民球場跡地や老朽化した商工会議所から市民プールなどの公有地でもいいと若本氏は言います。その日の夜にNHKの放送で歌手の吉川晃司氏の祖父が経営していた木造3階建ての立派な日本家屋の木造住宅があった旧中島町。吉川氏の家族は疎開中で被災されなかったそうですが、その旧中島町を戦前の様子に再生し、実際にそこで市民の日常と商業・宿泊施設(大規模木造旅館)などが甦れば世界中にどこにもない、かつての日本の特徴がある素晴らしい街が出来上がるでしょう。
取材:HICPM住宅生産性研究会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世彦
【8月6日・日曜日(広島市内)】
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| ―マンションのキッチン・リモデリング― 16年のマンションの全面改修の一部 薄暗く、開放感のない元の対面型キッチンをリ・モデリング キッチン台は造作中心のオリジナル 床暖房+LDKは明るく開放的なキッチンに家族が集うようになりました |
| 【Before】 【施工中】 キッチン台を組み、古材も取付け、LD側のカウンターもインストールして周辺を造作 仕上げ:弊社インテリアコーディネーターが詳細を現場で指示 古材に合わせて周りの造作家具なども自然塗料リボス+京都山中油店の鉱物顔料で着色 左官:カウンター天板、袖壁 天板の左官:クリスタルインレイ使用、蜜蝋で撥水加工 袖壁の左官:スイス漆喰、カルクウォール、エイジング加工 【After】 |
―福島・田島町/I邸・古民家解体(2004年)⇒下野市/T邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2009年)―
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【古材を活用したリモデリング例】
―栃木・藤岡町/A邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/S邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
【その他、古材を活用したリモデリング例】 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
日本民家再生リサイクル協会正会員 ㈱アップル・リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦


【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしまた、重要な肥料として農地にも還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹喜世彦
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===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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